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2006/12/17

レガゾーニ急逝.....

クレイ・レガゾーニが交通事故で亡くなった。
レガゾーニはニキ・ラウダとともに1970年代のフェラーリ黄金時代を築いたドライバーで、1979年にはアラン・ジョーンズの僚友としてウィリアムズで活躍。
最初は貧乏チームの代名詞的存在だったウィリアムズが、オイルマネーを掴んでトップにのし上がっていった大躍進の時代を支えた一人だ。

残念なことに1980年のロングビーチグランプリで大事故に見舞われ、このときの怪我が元でF1を去ることになった。
このシーズンはエンサインをドライブしていた。

この事故はレガゾーニのF1キャリアに終止符を打つ大クらっしゅだったわけだが、起きた場所がロングストレートの後のヘアピン、しかもランオフエリアの全くない市街地コースということを考えれば、命を落としていても不思議ではなかった。
っていうか、普通死ぬぞ、5速全開で200km/h以上出ててノーブレーキ状態でウォールに突っ込んだら。

この絶体絶命の状況からいかにしてレガゾーニは生還したか。
当時エンサインのメカニックだった津川哲夫さんの著書『F1グランプリボーイズ』に事故の詳細が記述されているが、これが凄まじいの何の。

まず、ストレートを5速全開で走ってきて、ヘアピン手前でブレーキを踏んだら、ペダルが根元から折れた。
想像して欲しい。5速全開から2速まで落とさなきゃいけないような場所でいきなりブレーキペダルがおしゃかになったんだよ!
普通この時点でパニックだよ。お手上げだよ。念仏唱えちゃうよ(レガゾーニは仏教徒じゃないって)

しかしレガゾーニは違った。

いきなり3速に叩き込んでイグニッションを切り、エンジンと駆動系の内部抵抗で減速を試み、それでも落ちないスピードを殺すために、先にリタイヤしてコース脇に止めてあったブラバムに自らぶつかりにいってこれをクッションにして跳ね返りながらウォールに突入したのだ。
レガゾーニはほんの一瞬のうちにこれだけのことをやってのけた。

だからこそ、背骨を折って下半身不随になったとはいえ、一命をとりとめることが出来たわけだ。

この判断力。生への凄まじい執念。
通算5勝とか、ファステストラップ15回とかって数字以上に、レガゾーニというドライバーの凄さを物語ってはいないだろうか。

凄いのはそれだけじゃない。
レガゾーニは車椅子生活を強いられるようになっても、パリダカをはじめ様々なレースに出場し、上位完走を果たしている。
あれだけの事故に見舞われても、レガゾーニはレースを愛し、現役であり続けようとした。ホンダのTVCMで、白いNSX-Rを駆ってもてぎのロードコースを疾走するシーンを観た人は多いと思う。

また最近では、ハンドドライブ・クロス協会という、手でスロットル操作が出来るように改造されたレーシングカートの競技を主催する日本のNPO法人の名誉会長にもなっていた。
自分が走るだけでなく、レースをしたいと思っている障害者の支援にも関わっていたわけだ。

惜しい人を亡くすとはこういうときに使う言葉だろう。
素晴らしいドライバーだった。最期の瞬間まで車を運転していたなんて...................

きっと天国でも運転しているんだろう。
それがフェラーリ312なのか、パリダカ仕様の四駆なのか、NSX-Rなのかは判らないけど。


追記:
現在のレギュレーションでは「ブレーキペダルはスチール製であること」と決められている。
もちろん、レガゾーニの事故が契機になっている。
折れたペダルはチタニウム製だった。チームオーナーのモーリス・ナンがデザイナーの反対を押し切って軽量化のために採用したものだ。
モー・ナンは今でもあのときのことを悔いているだろう。今回の訃報を一番悲しんでいるのもモー・ナンかも知れないな。

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